Column

2021年12月29日
新人営業キラー。


錦鯉、優勝!

えっ?

錦織、優勝!
何の大会?

圭ファンで老眼の私には
とても紛らわしいです。

ということで、
なんだかんだとグチグチ言いながら
今年も乗り切ることができました。

めでたしめでたし。

先日、会社に出勤した際、
営業電話を何本か受けたのですが、
そういえばコロナ禍前は
毎日のようにかかってきてましたね。

「この度、このエリアの担当になりましたので、 ぜひご挨拶に伺いたいのですが」

という類の電話です。

電話のみならず、雑居ビルなので
飛び込みの営業も、
頻繁にきていました。

不動産紹介営業、
ネットワークサポート営業、
コーヒーサービス等々…。

コロナの影響で、
こんな営業スタイルも
変わっていくのでしょうね。

何年か前、飛び込みの新人営業を
二人ほど泣かせたことがあります。

営業の電話って、かかってきた時の
私の仕事状況や
虫のいどころ次第で、

「予定はないので失礼します。」

といって切ることが多いのですが、
退屈な時はそんな見知らぬ営業の人と
30分くらい話すこともありました。

「変なオッサンに引っかかったな」

そんな後悔をさせてやろうというS気が
出てきちゃうんですよね。
特に若くて新人っぽい人の時に。

一人目(若い女性営業)。

私:「はい、ベイシックです」

見知らぬ営業女子:「こちら人材サービス〇〇の〇〇と申します」

私:「は、はい。お世話様です」

見知らぬ営業女子:「お世話様です。この度、この地域の担当になりましたので、ご挨拶にお伺いできればと思いまして」

私:「名刺交換ぐらいなら構わないですけど、ウチはやめておいた方がいいですよ。きっと後悔しますから」

見知らぬ営業女子:「後悔?ですか」

私:「そう。忙しいのに貧相なオヤジの自慢話、昔話に1時間も付き合わされた〜という大後悔です」

見知らぬ営業:「そんなことないです。色々お話を聞くことも勉強になりますし、声とか話し方も若々しいじゃないですか」

私:「お上手ですね。でも私には聞こえるんですよ。ご挨拶に来たあとのあなたの心の声が。『ふざけんな、ベラベラベラベラ延々と無駄話して。1ミリも収穫なしじゃない。このハゲおやじが!』という声が。間違いないです」

見知らぬ営業女子:「そんなことないですよ。とても楽しいお話ができそうで楽しみです」

(う〜ん、私の読み違いか。新人にこんな切り返しができるかな。もしかしたらベテラン営業か?)

私:「いや、いや。私と1時間話している間にもっと手応えある会社3つくらい営業できるかもしれないんですよ」

見知らぬ営業女子:「ククッ(笑)。いきなりのお電話でこんな会話をしたのはじめてです。すぐ切られて心折られてばかりでしたから。こんな断り方もあるんですね」

私:「営業はキツイですよね。ノルマもキツいし、電話しても即切られて門前払い。新人時代は心の骨が何本あっても足りないですよね。」

見知らぬ営業女子:「はい、、。」

私:「でもね、毎日心折られる日々を1年、2年と続けていくと、今は繊細でガラスのようなあなたの心も、筋肉がついてきて段々と鋼のようになり、急に視界がぱ〜っと開ける時が来ますよ。あなたはお若いのにとても素晴らしい応対をされています。いい営業になりますよ」

見知らぬ営業女子:「ありがとう、、、ございます。ううっ」

(まさか泣いてる?泣かした?相当メンタルやられてるんだな、かわいそうに)

私:「いずれにしてもウチは当面人材サービスを利用する予定もないので、もっと手応えありそうなところを当たってください。こういうのはタイミングですからね。引きずらにすぐに気持ちを切り替えて頑張ってください。」

見知らぬ営業:「本当にありがとうございました。私にとってはとても有意義なお話ができました」

この女子、今も頑張っているかな。


二人目。
真夏に飛び込みできた
新人男子営業マン。

呼び出し音が鳴ったので、
「はい」といってドア開けたら、
若い男の子が立っていました。

今日だけで何件回っているのか
分かりませんでしたが、
汗びっしょりかいて、
スーツもヨレヨレ。

私に笑顔を向ける余裕もない感じ。

新人営業マン:「このたびこのエリア担当になりました〇〇です。お名刺だけでも交換いただけないでしょうか」

私:「はぁ?」

たまたま暇だったし、ちょっと彼に哀れを感じたので、

私:「暑いでしょ。とりあえず中に入って少し涼んでください」

新人営業マン:「ありがとうございます」

私:「大変だね。どこも門前払い続きですよね。でも、名刺を持って帰らないと上司に怒られちゃうとか?キツいよね。」

図星だったのか、俯いて聞いていた彼の目から涙がポロポロ落ちてきて嗚咽を漏らし出しました。

(ええっ!? また泣かせちゃった!)

私:「どうしました。大丈夫ですか?」

新人営業マン:「すみません。中に通してもらったのがはじめてだったので。あらためて私〇〇株式会社の〇〇と申します」

懸命に涙を拭いながら、話し出す彼。

私:「ベイシックの〇〇です。あなたの今日の実績のために名刺は交換しますけど、いたずらにメールや電話してこないでね。」

新人営業マン:「はい。わかりました。」

ようやく笑顔になる彼。

私:「門前払いされる確率を少しでも下げられるかもしれないアドバイスをしても良いですか?」

新人営業マン:「ぜひお願いします」

私:「あなたの会社が何をしているのかも分からないのに、いきなり名刺交換だけでも、、というのは不躾で失礼ですよ。」

新人営業マン:「はいすみません」

私:「まず、今少しお時間よろしいですかと尋ね、相手が大丈夫そうなら、自分の会社のサービス内容を簡潔に伝え、興味があるかを伺う。それから最後に名刺をいただいてもよろしいですか?という流れで話さないと。逆の立場になれば分かりますよね。いきなり見ず知らずの人が訪ねてきて名刺交換お願いしますと言われて良い気分しますか?」

新人営業マン:「おっしゃる通りです」

とまた涙ぐむ彼。

私:「最初からうまくいく仕事なんてないですよ。特に営業なんて場数を踏むのが重要だから。できれば3年頑張ってください。違う景色が見えてくると思いますよ。」

新人営業マン:「ありがとうございます」

また号泣の彼。相当情緒不安定。

この男子、今も頑張っているかな。


共通しているのは二人とも
メンタルが弱っていたこと。

メンタルが健康な人には
余計なお世話でウザいけど、
弱っている人には私の暇つぶしに
すぎない屁理屈や説教も
親切として刺さったようです。


ということで
今回のオススメ映画コーナー。

今回のオススメは
「ニューヨーク 親切なロシア料理店」

前回の「アルプススタンド〜」に
野球選手が全く出てこなかったのと同様、
「ロシア料理店」という邦題ですが、
ロシア料理は出てきません。

内容は少し今回のコラム本編と
リンクしています。

ニューヨークマンハッタンにある
冴えない老舗のロシア料理店を軸に
さまざまなエピソードを抱えた
他人同士が繰り広げる群像劇。

ところどころハラハラする
要素を散りばめながら、
親切のリレーで次から次へと
繋がっていく過程は、
若干設定と倫理観に無理があるけど、
そこさえ目を瞑れば、
とても心温まる映画です。

親切の加減が押し付けがましくないのも
とても心地よい感じです。

ネットやリモートの繋がりばかりの
日々に疲れている人におすすめです。

それではみなさん、良いお年を。

ではでは。